自動車整備士の資格を取るためには?
自動車整備士になるためには「専門学校や大学に通わなければならない」といったイメージを持たれている方が多いです。しかしながら、実は学校に通わなくても自動車整備士の資格試験を受けることができる方法も存在します。
また、これから自動車整備士の資格取得を目指す人にとって、その難易度や取得方法はとても関心が高く、試験の合格率は受けるか否かの基準にも成り得ます。
他の国家資格と比較してどうなのか、どのような人が受験しているのかを合わせて把握することで、より自身に照らし合わせてイメージすることができるでしょう。
今回は、自動車整備士を目指す人に向け、資格の取得難易度やその方法について紹介をしていきます。
難易度や取得方法など自身に合ったものを選んでいきましょう。
自動車整備士の難易度を確認する前に、まずは、難関資格と言われる国家資格の難易度を合格率から見てみましょう。
資格 | 合格率 |
---|---|
司法書士 | 4.1% |
弁理士 | 6.5% |
社会保険労務士 | 6.8% |
公認会計士 | 11.2% |
行政書士 | 15.7% |
税理士 | 15.8% |
中小企業診断士 | 19.4% |
弁護士 | 25.9% |
続いて自動車整備士の合格率を見てみましょう。
級 | 合格率 |
---|---|
1級 小型自動車 | 49.3% |
2級 ガソリン | 87.3% |
2級 ジーゼル | 93.4% |
2級 シャシ | 84.7% |
2級 二輪 | 71.7% |
3級 ガソリン | 63.8% |
3級 ジーゼル | 63.2% |
3級 シャシ | 53.2% |
3級 二輪 | 71.9% |
級 | 合格率 |
---|---|
1級 小型自動車 | 95.2% |
2級 ガソリン | 22.0% |
3級 シャシ | 71.4% |
自動車整備士は国家資格なので、難しいイメージを持っている方も少なくありません。
しかし、この一覧からも分かるように、自動車整備士の難易度は易しいものとなっています。
最難関と言われる司法書士は100人受けて4人しか合格することができません。それに対し、自動車整備士の学科試験において最も合格率が低い1級小型自動車でも約半数が合格するのです。
一般的に、級が上がればその難易度は増し合格率は下がりますが、自動車整備士は3級の合格率よりも2級の合格率の方が高くなっています。
それは、3級の受験者には専門学校や大学を出ていない一般の受験者が多く含まれるためです。
同様の理由により、1級においても一般の受験者が多く含まれています。そのため、合格率は50%となっていますが、専門学校のみの合格率は65~75%という高いものになっています。
次に自動車整備士の試験範囲について確認をしていきましょう。
級 | 試験範囲 |
---|---|
1級自動車整備士 | ①構造、機能及び取扱い法 ②点検、修理、調整及び完成検査の方法 ③整備用機械に関する初等知識 ④整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法 ⑤材料及び燃料油脂の性質及び用法 ⑥図面に関する一般知識 ⑦保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
2級自動車整備士 | ①構造、機能及び取扱い法に関する一般知識 ②点検、修理、調整及び完成検査の方法 ③整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法に関する一般知識 ④材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する一般知識 ⑤図面に関する初等知識⑥保安基準その他の自動車の整備に関する法規 ⑥保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
3級自動車整備士 | ①構造、機能及び取扱い法に関する初等知識 ②点検、修理及び調整に関する初等知識 ③整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法に関する初等知識 ④材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する初等知識 ⑤保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
この一覧から分かるように、3級には「図面に関する知識」が含まれませんが、それ以外に1級~3級において試験で出題される範囲は大きく異なることはありません。
1級~3級の試験の違いはその内容の深さです。
例えば、一覧の①「構造、機能の取り扱い」を見ると、1級は「取り扱い法」2級は「一般知識」3級は「初等知識」とされています。
なお、実技試験の範囲は各級全て同一となっています。
①基本工作
②点検、分解、組立て、調整及び完成検査
③修理
④整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い
実技試験も筆記試験と同様、試験範囲はほぼ同じですが、出題の複雑さや使用する工具の種類が多いなど難易度が上がるのです。
出題範囲は同じなので、工程の1つ1つを掘り下げ、様々なパターンを想定しながら学習を進めることで効率良く身に付けることができるでしょう。
自動車整備士の資格試験を受けるためには受験資格を満たさなければなりません。
受験資格は各級によって異なる他、「学校を修了する」や「実務経験を積む」といった2つのルートが存在します。
最短で自動車整備士の受験資格を得るには専門学校や大学を修了する必要があります。
そして、修了する課程によって得られる受験資格が異なります。
それぞれの修了課程については以下の通りです。
修了する課程 | 得られる受験資格 |
---|---|
一級整備士養成課程(4年制) | 修了後に一級整備士試験の受験資格が得られる |
二級整備士養成課程(2年制) | 修了後に2級整備士試験の受験資格が得られる |
三級整備士養成課程 (工業高校の自動車科など) |
修了後に3級整備士試験の受験資格が得られる |
また、それぞれの課程に入学するためには以下の条件を満たす必要があるので併せて確認をしましょう。
入学する養成課程 | 入学資格 |
一級整備士養成課程 | ・2級ガソリンまたは2級ジーゼルの合格者 ・実務経験3年以上 ※2級ガソリン、2級ジーゼルどちらも保有している場合は2年。 |
二級整備士養成課程 | ・高等学校以上を卒業 ・実務経験2年以上 |
三級整備士養成課程 | ・中学校以上を卒業 ・実務経験1年以上 |
専門学校や大学を修了しなくても実務経験を積むことで自動車整備士の受験資格を得ることができます。
実務経験を積む場合の必要年数は以下となります。
級 | 実務経験年数 |
一級自動車整備士 | 実務経験3年以上(2級自動車整備士合格後) |
二級自動車整備士 | 実務経験3年以上(3級自動車整備士合格後) |
三級自動車整備士 | 実務経験1年以上 |
一級・二級自動車整備士の試験を受けるためには、上記一覧のように二級・三級自動車整備士の資格試験に合格し、そこから実務経験を積む必要があります。
そのため無資格から一級自動車整備士取得をする場合、3級を受験するために1年、2級を受験するために3年、1級を受験するために3年と計7年を要するのです。
学校を修了する場合と約倍の年数がかかることを覚えておきましょう。
また、合格率が低いため、専門学校で学んだ人より、ハードルが高いと言えるでしょう。
・国家資格であるが、専門学校で学ぶことでハードルを下げることができる
・自動車整備士の合格率は全体で70%前後
・試験範囲は1級~3級で違いはほとんどない
・試験の難易度は1級~3級で深さや複雑さが異なる
受験資格を得るためには「学校を修了する」もしくは「実務経験を積む」必要があり、最低でも2年という時間を要します。
学校を修了せず、未経験から一級自動車整備士を目指すには7年という長い年月が必要となるので、最短で自動車整備士の資格を得たい人は専門学校や大学へ入学をしましょう。
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