自動車整備工場の「認証工場」と「指定工場」の違いとは | 自動車整備士の【専門学校 東京工科自動車大学校】

コラムCOLUMN

自動車整備工場の「認証工場」と「指定工場」の違いとは

自動車の整備工場には「認証工場」と「指定工場」の2種類があり、どちらも国から自動車の整備点検を認められている工場です。

この「認証工場」と「指定工場」は、それぞれ呼び方が違うだけで中身は同じと認識している方も多いのですが、実はそれぞれの工場でできることが違います。

そこで今回は、自動車の整備工場である「認証工場」と「指定工場」の違いについて解説していきます。
自動車整備士を目指している方にとっては、働き方も変わってくるのでしっかりと覚えておきましょう。

「認証工場」とは

自動車の分解整備を行うためには、地方運輸局から認証を受ける必要があり、その認証を受けている整備工場が「認証工場」です。

認証を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

①2級整備士がいること
※従業員が2~4名の場合、2級整備士が1名
※従業員が5~8名であれば、2級整備士が2名
②定められた工場、車両の規模が確保されていること
③指定された設備や備品が確保されていること
④工場所在地、工場に関する法令に抵触していないこと

また、分解整備を行うことができる認証工場では、「原動機」「動力伝達装置」「走行装置」「操縦装置」「制動装置」「連結装置」といった機器や装置について、取り外したり整備・改造を行ったりすることができます。

このような整備を行うことができるほか、車検を受け付けている認証工場も多く存在します。これにより「認証工場で車検ができる」と勘違いされることが多いのですが、認証工場には車検をするための検査ラインを工場内に持っていません。

そのため、車検のための分解整備を行えますが、整備を行った自動車の検査は陸運支局や自動車検査登録事務所といった車検場へ持ち込まなければならないのです。

「指定工場」とは

指定工場も認証工場と同様、国から自動車の整備点検を認められている工場ですが、認証工場とは違い工場内で車検を実施することができます。
そのため、指定工場は民間車検場と呼ばれることもあるのです。

また、指定工場は、認証工場同様の要件に加えて、次の要件を満たす必要があります。

①車検を実施するための作業機器や検査施設
②検査を実施する自動車検査員の配備

このことから指定工場は、「認証工場のなかでも車検を実施できる工場である」と覚えると良いでしょう。

「認証工場」と「指定工場」の違い

 

ここまで認証工場と指定工場の概要について確認をしてきました。
以降では、認証工場と指定工場の違いについて「作業場」「設備」「人材」に分けてまとめました。各項目の違いについて確認しましょう。

【作業場について】

認証工場 指定工場
・車両整備作業場
・点検作業場
・部品整備作業場
・車両置き場
・車両整備作業場
・点検作業場
・部品整備作業場
・車両置き場
・完成検査場

まず、工場内の作業場についてですが、上記の通り、認証工場と指定工場の違いは「完成検査場」の有無にあります。これは、どちらの工場においても整備できる内容については同じですが、指定工場は車検を実施する環境が必要であるためです。

 

【設備について】

認証工場 指定工場
・点検整備に必要な機器 ・点検整備に必要な機器
・検査に必要な機器

設備についても作業場と同様の理由から、「検査に必要な機器」の有無が両工場の違いとなっています。

 

【必要な人材】

認証工場 指定工場
・従業員のうち、1~2級の自動車整備士が1名以上いること
※従業員数が多い場合は、従業員のうち4分の1以上が1~2級の自動車整備士資格を保有していること・自動車整備主任者の届出を提出していること

・2名以上の従業員が分解整備に従事していること

・自動車検査員が1名
・1~2級の自動車整備士が1名以上いること
・工員が4名以上
※自動車整備士の有資格者含む
※従業員数が多い場合は、工員のうち3分の1以上が1~2級の自動車整備士資格を保有していること・自動車整備主任者の届出を提出していること

必要な人材における一番の違いは「自動車検査員」の有無にあります。この自動車検査員は、車検にて点検・整備を実施した自動車が、道路運送車両法で定められた基準に達しているかを検査する「完成検査」を行うことを主な仕事内容としています。
つまり自動車検査員がいなければ、工場内で車検を実施することができないため、指定工場に認定されないのです。

自動車整備士の仕事内容の違い

ここでは自動車整備士が、認証工場で働く場合と指定工場で働く場合における仕事内容の違いについて確認をしていきます。
整備工場で働きたい方は必ずチェックしましょう。

認証工場の仕事内容

認証工場の場合、部品交換や点検整備、分解修理や鈑金塗装といった整備業務が主な仕事内容です。
また、認証工場では車検のための点検・整備は実施することが可能ですが、車検の実施はできません。そのため、点検・整備を実施した自動車を陸運支局へ持ち込むといった業務も発生することがあります。

指定工場の仕事内容

認証工場と同様に、点検・整備を行うことができます。加えて、指定工場では車検を実施することができるので「点検・整備から車検」まで一貫して作業ができます。
しかし、工場によっては「故障や不具合などに対する修理」ではなく「車検のための点検・整備」が中心となることもあります。
そのため、故障や不具合の修理を仕事としたい自動車整備士は認証工場を選ぶ、もしくは、業務の割合がどのようになっているか事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

  • 認証工場、指定工場はともに分解整備を行うことができる
  • 認証工場には車検のための検査ラインがない
  • 指定工場は車検の検査ラインを持っているため工場内で車検が完結する

「認証工場」と「指定工場」は、どちらも国から自動車の整備業務を認められている工場です。両工場の一番の違いは「車検」を実施できるか否かによって分かれています。
そのため、設備や配置する人材においても車検に関係する部分がほとんどです。
この車検を実施できるか否かによって、自動車整備士としての働き方も変わってきますので、整備工場に就職を希望している方はよく確認するようにしましょう。

当校は、自動車業界の幅広い人材ニーズに
応えるために、世界水準の技術者を育成します。

世界の最先端技術の結集とも称される自動車。常に進化を続ける自動車業界を、20,000名以上の東京工科自動車大学校の卒業生が支えています。業界が求める高度教育で「選ばれる」人材を育成し、学生一人ひとりの夢を実現します。

ホーム > コラム > 自動車整備工場の「認証工場」と「指定工場」の違いとは
  • オープンキャンパス

    学校の雰囲気や実際の授業の様子を体験してみよう!

  • 資料請求

    資料を請求して、学校のこと、学科のことをもっと知ろう!

  • 募集要項・学費について

    入学や学費に関する情報は、こちらをチェック!